漫画の方向性
描きたい漫画を描くとか、自己整理、自己完結。そういうのはもう良くて、私の漫画で世の中にどんな風を巻き起こせるのかって。
私は漫画読む人と読まない人、陰キャと陽キャみたいな、そういう隔たりをなくすようなものを作りたい。
漫画を描く人も読む人も、めちゃくちゃイケてるよっていう。
例えば音楽は、そういうものになりつつあるでしょう。純粋にこの音楽が好きって気持ちは勿論あって、なおかつ、この音楽を聞いてるのがイケてるって、それをカラオケで歌ったり車の中で流したり、それによって人とのコミュニケーションを生むような、そういうツールになりつつある。
だからミュージシャンだって流行ってる人でイケてない人っていないじゃん。
私はそういうのを漫画でやりたい。自分自身が内向性

も持ちつつ、どんどん社交も楽しんで人生をエンジョイして、それが作品にも繋がってく、それを通じてもっともっと人と濃く強く繋がってく。
そういうのを作りたい。
絵もストーリーもイケてるものしかもう描かない。
いつまでも尖って、いつまでも面白い人であろうね。
漫画制作後記「立ち食い蕎麦」

少年画報社特別編集「お日様と朝食」
「立ち食い蕎麦」10ページの読切。
制作後記です。
今回依頼をいただき、縛りはいくつかありました。
•朝起きて、朝ごはんを食べに行く話であること。
•主人公は男性。
こちらの出版社で書かせてもらうのに、男性主人公は初めてです。
制作時間は十分にあったのに、例によって取り掛かるのはギリギリでした。いつもすみません。
立ち食い蕎麦の経験があまりなかったので、動画を見たりしてイメージをふくらませます。
最初、仕込み時間がすごく早い(店によってはAM3:00)というのに目をつけました。
「昔は遊びまくり、朝帰りが当たり前だった主人公が今は同じ時間に自分の店で仕込みを始める。家族もそこにいる」という話を考えます。
朝帰りしていた当時、酔った自分を助けてくれた女性が今は自分の奥さんというオチで。
悪くないけど、なんかありきたりだし、ちょっとしんみりしてる、ワクワクしないと思いました。没。
次に、中年男性を主人公にして「立ち食い蕎麦屋で出会った若い女性。その女性が実は生き別れの娘」という話で考えてみました。
1人で悶々と考えていたせいで、だいぶ物語が飛躍的になりつつある、、。
自分の中でこの物語は盛り上がって、父娘の昔のエピソードや、バイク乗りの父の、おそらくダメな父親だけど魅力的というキャラ設定に酔いながら物語ができてきます。
しかし冷静になると、この雑誌で、10ページで求められている内容では絶対にないと気づきます。仕切り直し。
さすがにプロットは提出しなければならない時期になって、さすがに焦ります。
思わずチャットGPTに聞いてみました。
「この設定、このページ数でどんなプロットにしたらいい?」と。作家としてタブーな気もしたが、藁にもすがる思いで。
すると5個くらいプロットが上がってきます。
よかったのは、それよって視野が狭くなっていた脳がぱっとほぐれたこと。
「あ、こんなに色々物語はあるんだ!」と心が軽くなり、なんとなく思いついたアイデアを気軽にチャットGPTに投げてみました。
そしたら「いいね!」と少しアドバイスもくれて、
チャットGPTと打ち合わせするようにプロットを練っていくと、あっという間にまとまりました。
プロットを作る段階では、まだあまり物語に入り込まず冷静で軽やかな気持ちの方ががいいのかもしれないと思いました。
そして、編集さんにプロットをOKもらい、いよいよネーム。
しかし全く面白いネームにならない。なぜ?
プロットはいい感じと言ってもらったのに、、。
多分気軽にプロットを作ったため、まだ自分自身がキャラに入り込めていませんでした。
いつもなら私はプロットの次に脚本を書きます。
しかし、脚本も面白くならないので、今回はまず絵を描きながら、キャラを自由に動かしていく(キャラを知っていく?)ことにしました。
あまり理屈で考えず、思いつくまま絵を描いていきます。
すると、キャラのセリフや、動きや、エピソードが生み出されていきます。物語が熱量を持ってきました。
ネームにする素材が集まったと思ったところで、ネームに取り掛かります。
バラバラにあるシーンからより魅力的だったり、物語の流れに合う物を選んではめこんでいきます。
今回のネームは脚本から起こしたものより、イキイキしたものになったと思います。
細かい訂正を経てネームもOKが出たのでいよいよ原稿作業。
私はフルデジタルでclip studio paintを使って描きます。
まずは素材集め。舞台になる立ち食い蕎麦屋やオフィス。キャラのイメージに近い写真などを集めます。
絵柄は私は模索中で、自分のキャラの描き方が定まっていません。だからパッと見たとき、華やかさに欠けるというか、目を引かないんだろうと分かっています。
研究中ではあるが、締切が絵柄を確立するのを待ってはくれないので、なんとか今の力で全力を注ぎます。
今回はいつもより線を太くしました。
強弱を付け、黒と白のコントラストを強調する。
これは実は最近アートワークショップのためにチャレンジした、ステンシルの技法から着想を得ています。
イラストをステンシル台紙にするとき、輪郭線で捉えるのではなく、光と影で捉え、そのどちらかの部分をカッターで切り抜きます。
そうするとスタイリッシュでオシャレな印象になると思います。(参考写真は光と影ではなく白黒ですが)

実際物語や絵の良し悪しは雑誌になって読者の反応を見ないとわからないですが、今回学んだことは、
•プロットの段階ではあまり物語やキャラに入り込まず冷静に雑誌の色やページ数を考えてあらすじを練ること。(訂正や追加が入る余地を残す)
•ネームの前にキャラに入り込む時間を作る。理屈ではなく、絵を描きながらセリフやエピソードや表情など、魅力的なシーンを積み重ねていき、そこから取捨選択してネームにまとめる。
•絵に関しては引き続き模索。上手い絵と言うより魅力的な絵を研究する。線を太くするのは一つチャレンジ。吉か凶か。
今回も10ページですが、読んで少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
描く場をくださった思い出食堂編集部さんにも感謝です。
富士そば大好き♡
〈追記〉
編集さんには食べ物の絵がざっくりなので、もう少し美味しく描けたらいいとご指摘いただきました。
美味しいものたくさん食べてたくさん描いて練習しようと思います。
水彩画ワークショップ「鳥を描こう」

定期的にワークショップをやらせていただいている依存症回復施設にて、水彩スケッチワークショップです。
今回は鳥の写真を見ながらスケッチ!

資料は撮った写真や雑誌です。
これまでこちらの施設では、水彩絵の具を使ったプログラムを数回やらせていただいていました。


風景写真スケッチ(水彩入門)

秋の葉っぱスケッチ(水彩の滲みを生かして)

クリスマスのイラスト


野菜を使って絵手紙風


滲みと混色で栞作り

部屋にある気になるものをスケッチ
私自身水彩絵の具が初心者だっだということもあり、ワークショップをやらせていただきながら、水彩絵の具について色々勉強しました。
本当は野外スケッチの計画があり、そこに向けて水彩絵の具に慣れよう!と重ねたワークショップだったのですが、
お天気や参加者の方の体調など、色々不安があり実現せず。
結局、室内で水彩絵の具で様々な絵の描き方にチャレンジする運びととなりました。
そして今回は鳥の写真スケッチ🦆

なぜ、鳥かと言うと、、、
特に理由はありません。
風景や食べ物を描いてきて、動物も描きたいという衝動から選びました。
結論から言いますと、、、
参加者にとって、難しいワークショップになってしまいました😓
今回は水彩絵の具だけではなくこちらの水彩色鉛筆も用意して、
画材で遊ぼう、好きな画材を選ぼう⭐︎
というテーマも合わせて行ったのですが

新しい画材に慣れるのに難しさがあったのと、
そもそも鳥という題材が簡単ではない上に、
特に思い入れのない題材を描くことに、喜びがなかったようでした。
マイナスな言い方ですみません。
※こちらのブログでは、ワークショップのリアルな内情を記して、次に生かしていけたらと思っております。
とにかく、こちらの施設でのワークショップはそもそも、絵が好きな方だけが参加者ではありません。
むしろとても絵に苦手意識があったり、描くことが好きではない人も多いです。
その上、依存症や気分の浮き沈み、集中力の欠如などに苦しんでらっしゃる方もおられます。
そんな中でも、短時間でも絵を描くことに意味がある!という運営の方の心意気で、こういったワークショップをやらせていただいています。
なので、少しでも参加者の方のハードルを下げて、尚且つ楽しんで創作活動ができる場を私は作らなくてはなりません。
単純に絵を描く題材を用意していくだけではだめなのです。
(今回はそれに近かったため難しいワークショップとなってしまいました🙇)
様々な場所で色々な形のアートワークショップをやらせていただいて、私の中でいくつかの「これがあればOK!」という、素敵なワークショップの定義があります。
まず一つ目は、簡単であること。
これは手順が少ないとか作業的にできるということではなく、絵の技術を必要としないということ。
初めてやる人でもある程度形になるような方法をこちらで用意する。

例えば上の写真はトートバッグにペイントするワークショップです。
マスキングテープで枠を作ることで、中はただ色を塗るだけなどでも、剥がした時には素敵なデザインになります。
↓の写真は別の作品ですが、マスキングをして、中は適当に色付けしただけです。

こんな感じで、いわゆる絵心を問わず、誰でもそれなりに形になるやり方を考えるのが、ファシリテーターとしての腕の見せどころです。
蓄えた技術や知識、またネット等を漁ってアイデアを捻り出します。
誰でも形になるやり方を提案すると、大抵の参加者はそれをアレンジ、バージョンアップさせて、自分なりの個性ある作品を仕上げてくれます。
まずは、「私にもできそう!」と思ってもらうことが大切です。
二つ目は、付加価値をつけること。
絵というのはそれだけで中々価値が見出しづらいものです。
だからこそアートとして価値があるとも言えるのですが、そうなるとそれだけ価値のある作品を作らなければとハードルを感じてしまう方もいらっしゃいます。


上のようなトートバッグペイントや、栞作りはどうでしょうか。
トートバッグや栞は「使える」という価値を持っているので、絵を描くことはあくまでそれに付加価値を付ける行為、ということで絵を描くハードルが一気に下がります。
同時に、のちに使えるものを作りたいということで、少しの緊張感がプラスされ、モチベーションがアップします。
絵の上達が目的の絵画教室ではなく、絵を通して経験を得るためのワークショップなので、描くツールはアイデア次第で色々と工夫できます。
三つ目は、自己表現の余白を残すこと。
誰でもできるやり方をこちらが用意して、のちに使えるものを作る、だけではただの楽しい作業になってしまいます。
アートワークショップである意味は、やはり自己表現にあると思うので、自分の個性を出す余白を残します。
それは色選びであったり、題材選びであったり、画材選びであったり、そう言った選択肢を用意するのもいいですし、
ここには好きな言葉を描いてください、背景は好きな色で塗ってくださいなど、自由にできる場所を一部作っておくのもいいです。
作品全部を自己表現するのは難しくても、作業の中の一部を表現の場にすることで、創作の自由さ、楽しさは一気に広がります。
以上の3つが素敵なワークショップのために必要不可欠な要素だと考えます。
さらに以下2つは、あるとワークショップがより素敵になる要素です。
一つ目は、季節感、自然とのふれあいを大事にすること。
特に、公共施設や福祉施設、季節イベントなどでのワークショップが多いので、自然をテーマにしたり季節感のある題材を選ぶと、定期的に行う際のメリハリになります。
二つ目は、対話を生む環境を作ること。
こちらはワークショップの内容だけでなく、行う場所や席の配置、場合によってはBGMや光の加減なども考えます。
ファシリテーター自身の佇まいや、声のトーンなども地味に大事で、明るい雰囲気によって参加者同士が会話したり盛り上がれるようにします。
どうせなら、明るく参加者同士会話を楽しみながら創作ができた方がよくないでしょうか。
創作や絵を描くと言うと1人黙々とやる形を想像される方もいらっしゃいますが、
同時に自己表現することは究極の対話です。
自分との対話である創作を通して、他者との対話がスムーズになる。自分をより知ってもらい他者のことをより理解できる。
創作活動がそんな手段になると気づいたら、より絵を描くことや創作活動が楽しくなるのではないでしょうか。
以上が私の考える素敵なワークショップの定義です。
今回のワークショップではこの定義を疎かにしてしまい、参加者にとって難しいワークショップになってしまいました。
それでも時間内集中して、皆さまそれぞれ力のこもった絵を描いてくださいました。
改めて、それが絵の素晴らしさだとも思います。
正直、描いていて辛い、つまらない、めんどくさいと思う時が私にもあります。
でもその辛さはきっと、この絵を中途半端にに終わらせたくないという思いから来るものです。
仕事であってもなくても、絵というのはペンを紙に置いた瞬間から、もう自分の作品としてこの世に生み出されます。
それを中途半端には片付けたくないという気持ちが、多かれ少なかれ多くの人に生まれます。
だから多くの人は、絵を描き出すのに躊躇します。
それは自然なことです。
ですが絵を描くことは自分の作品に最後まで向き合うことであり、外部の反応から一度目を逸らし一つのことに集中する行為です。
描き終わったあと、こんな絵何になるんだろうと投げたくなる気持ちも分かります。
無駄な時間だった、もうやりたくないと思ってしまうのも分かります。
それでももし、その作品が誰かの心に届いて、誰かに好きだと言ってもらって、誰かに自分の内面や言葉にできない想いが伝わったら?
そんな希望を少しでも持って絵を描いてもらえたら嬉しいです。
私もそうやって描き続けていきます。
ワークショップはそのきっかけ作りとして、
今回話したような定義を見失わず、
素敵なワークショップをこれからも開催していきたいです。

ビバ!